コピペ運動会

宇多田ヒカルの曲を聴いて思うのは「ありがとう」って言葉は
とても素晴らしいし大切なんだけど……ってこと。

『Flavor of Life』の歌い出しは「ありがとうと君に言われると
なんだか切ない」。好きな人から言われると他人行儀に感じる、
ということか。ちょっとした親切なんて雑にあしらってほしい、
それぐらい私と礼儀知らずなぐらい親密でいてほしい……のか。
それは歌詞のなかの女心。もちろんこの女性は、愛する男性に
何かしてもらったら顔を輝かせて（べつに顔射されたんじゃなく）
「ありがとう！」と言うんだろう。でも、自分は「ありがとう」と
言われることより大切な関係に身を委ねたい。

パッと思いつくだけで、MISIAの『愛のカタチ』いきものがかりの
『ありがとう』南野陽子の『あなたを愛したい』では、大切な人に
心からの「ありがとう」を伝えようとしている。これらの楽曲が
『Flavor of Life』より劣るわけではない。だが、感謝をする
という当たり前の道徳より、さらに貴重なときめきも存在する……
そういう心情をさらっと描いてしまう宇多田ヒカルは、やっぱり
すごいってことだろうね。

道徳は大切だ。だが、今回の闇営業とやらで謹慎した芸人たちは、
「芸能界がそんなにクリーンなわけないやろ！　昔っから芸能人は
ヤクザとつるんでて当たり前なんやぁぁ！」と開き直ることはない。
一般人だってよほどピュアな馬鹿でなきゃ承知してることなのに、
反社会的勢力と絡んだ芸能人を「反省すべき悪行をした者」として
唾棄することが世間的な共通認識になっている。要するに建前だ。
この建前が芸能界をつまらなくした、と考えるのは間違いか？

すべてにお行儀のよい昨今、男は汗臭さを誇り、進んで裸踊りを
してほしい。フルチンに文句を言われたら「おおっ、すまんすまん。
俺のチンポは臭いから迷惑かけたな！」と言い放ち、ガッハッハと
笑ってほしい。その男の体臭こそが、竹島問題や米軍基地問題で
日本が諸外国に対して毅然とした対応を行うための礎となるのだ