530 :1/2:2010/07/16(金) 10:39:21 ID:S2qLzWO0P
俺が中学生で、ちょうどこの時期の話。 晩飯を食い終わり、階段を上って部屋に戻る途中、廊下の窓からふと隣りの家を見たんだ。
(隣りといっても空き地を挟んだ先に建っているのでウチから50mほど離れている)
もう陽は落ちていたけど、わずかに残る明るさの中
その家の軒下に、短パン姿の小さな男の子が立っているのが分かった。
俺に背を向けその家の壁と向かい合わせで
なんつうか棒立ちで、ドアも窓も無いただの壁の所に立って微動だにしない。
『どこの子だ?こんな時間になにやってんだろ?』と暫く見てたんだけど(つっても5秒ぐらい)
居間から兄が「おーい○○(俺の名前)、今週のジャンプはー?」
って俺を呼んだのでその場を離れた。
まだ読みかけのジャンプを兄に奪われw 戻ってきた時にはその子はもう居なかった。
『空き地で遊んでて、転がってったボールを探してたんだろ』ぐらいにしか思わなかった。
その事はしばらく忘れてたんだけど
それからひと月後ぐらいに兄とだべってる時、ふとその日の事を思い出し何気に兄に話した。
さっきまでヘラヘラしてた兄の表情が一変、悲しげな顔で
「…そういえばお前まだ小さかったし、教えてなかったしな…」と昔の話をしてくれた。
531 :2/2:2010/07/16(金) 10:41:39 ID:S2qLzWO0P
続き 隣りの家にはユウちゃんという男の子が一人いた。
ユウちゃんは俺の兄の一つ下で、兄とユウちゃんはいつも一緒に遊んでた。
(兄と俺は4つ離れていて、当時1歳だった俺は遊び相手にはならなかった)
でもユウちゃんは交通事故で死んでしまった。
道路の向かい側に自分の母親を見つけ、思わず飛び出し車にはねられて即死だったとのこと。
兄もかなりショックで相当泣いたらしい。
ウチの家族もそんな兄を想い、ユウちゃんの話はずっと伏せていたので
俺は一切知らなかったという訳だ。
俺があの日に見たその子は、特徴から「絶対、ユウちゃん」とも言った。
でも俺には一つ疑問が。なんで何もない壁のほう向いてたのか?
「ああ、それもさ…お前覚えてないだろ。あの家、それから改築したのよ。
かわいそうに、玄関がわかんなくて入れないんだな…」
俺が見たユウちゃんが立っていた場所、ちょうど改築前は玄関の位置だったそうだ。
霊感ゼロと思われていた俺の、唯一の霊体験でした。