今から20年以上前、私が小学生の頃、私の地元の同年代では誰でも知っている人物に、『野村のおっちゃん』という人物がいた。
その野村のおっちゃんは文字通り苗字が野村というおじさんで、小学生に付きまとう変質者だった。
野村のおっちゃんは白髪の短髪で、度の強い眼鏡を掛けた50代後半くらいの小男であり、いつも薄汚れた紺色のジャンパーを羽織っていた。
典型的なアル中で、肝臓が悪いのか顔色は浅黒かった。
その浅黒い顔に、汚らしい白髪混じりの無精ひげ、フケ混じりの頭髪などから、ホームレスとの噂もあった。
おっちゃんが実際に我々小学生に何をしたかというのは、おっちゃんの噂話が我々小学生の間で独り歩きしていた為、どこまでが真実か分からない。
それを踏まえて書けば、おっちゃんが起こした有名な事件の一つに、女児に対する誘拐事件があった。
おっちゃんは自分の車なのか知らないが車を運転し、学校帰りの低学年の女児を無理やり拉致した。
おっちゃんが女児を後部座席に押しこんで車を走らせると、女児は車内で泣きながら窓ガラスを叩いて、外を歩いている人に助けを求めた。
そして、たまたま道を通りがかった小学校の教頭がその車を目撃し、大声で叫びながら追尾し、ついに車を停止させて、女児を救出したと言う。
この話は保護者の間でも有名で、私も母親から直接聞いたことがあり、小学生同士の噂レベルではない、信ぴょう性の高い話だ。
しかし、野村のおっちゃんは何故か、そのような大きな事件を起こしたにも関わらず、大した罪には問われなかった。
それどころか、警察の事情聴取を受けた際、「なんだ、野村さんか」とのことで、すぐに釈放されたという噂があった。
当時は子供への性犯罪の重大性に対する社会の認識がまだ浅く、また、おっちゃんのような少し知的に問題のありそうな人に対する処遇が曖昧で、警察もいいかげんな対応をしていたのかも知れない。
いずれにしても、事件後もおっちゃんは変わらず小学校の近くを徘徊していたため、教頭始め、先生方が見回りをして、事件を未然に防ぐ努力を続けた。
誘拐事件で女児を救出した人物であり、先生方の見回りの陣頭指揮をとっていたのは、先に述べたように教頭だ。
この教頭はおっちゃんと同じ50代くらいで、短髪の白髪、そして同じく眼鏡を掛けていたが、スラリと背が高く、インテリで、おっちゃんとは正反対の男であった。
普段
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