21 :本当にあった怖い名無し:2009/08/13(木) 18:40:01 ID:3PuHQhKm0
小学生の頃、秘密基地を作るのが流行ったでも、両親が離婚したばかりで、少し不安定な状態だった事もあって、軽く苛められていて、自分は仲間には入れてもらえなかった
田舎だから、遊ぶ場は限られるし、そこは秘密基地がらみで、より排他的になっている友達でいっぱいで、出かけることも出来なかった
ゲームなんかもまだ普及していないかったから、引きこもりにもなれなくて、夏休み前になって最後に流れ着いたのは、危険だからと校則で行ってはいけないことになっている川原だった
川原の中洲は、学校の校庭くらいの広さがあって、森といってもいいくらいの木立が生えていた
そこに一人で秘密基地を作って遊ぶようになったある日、木々の隙間から声をかけられた
見てみると、中学生くらいの女の子が手製の釣竿を持って立っていたその子は、他に子供がいなくて退屈しているから、一緒に遊ぼうと誘ってきた
22 :本当にあった怖い名無し:2009/08/13(木) 18:40:47 ID:3PuHQhKm0
最初は女の子、しかも年上なんて、と気後れしてたが、こっちも他に遊び場なんかないし、何日か通う内にいつの間にか打ち解けていた
それからは、暇なときはずっと中州に通い詰めで、女の子からは釣りやカブトムシの捕まえ方(中洲にはやたらと虫がいた)や泳ぎ方を教わって、こっちからはおやつのお裾分けや読み古しのマンガを持って行くという感じの間柄になった
女の子は自分がどこに住んでいるのかは話さなかったけど、中州にある雑草だらけの畑のようなところから、キュウリやトマトをもいで一緒に食べたことがあったので、多分、森の中のどこかに家があるのだろうと(ホームレス的な意味ではなくて)勝手に想像していた
23 :本当にあった怖い名無し:2009/08/13(木) 18:41:29 ID:3PuHQhKm0
夏休みが終わってしばらくした頃、突然、女の子は今日でお別れだと言い出した自分は昔からずっとこの川に住む~の一族(~の部分は良く覚えていない)で、ここ、しばらくは中州に森が出来たので、夏の間は下流のこの辺りで暮らしてきたのだが、今夜辺り、流れが大きく変わってしまいそうだ
もし、それでも森が残るようなら、また、来年戻ってくるが、そうでなかったら、もう拠り所が無くなるので帰って来れない
だから、さよならなのだと言うと、去っていった
その晩、珍しく台風が、暮らしていた内陸の町を直撃した
翌朝、まだ、小雨が降る中、川原を見に行くと中州は水浸しだったが、森はちゃんと残っていた
安心して、また、来年もあの女の子に会えるんだと思って、その日は家に帰った
24 :本当にあった怖い名無し:2009/08/13(木) 18:42:10 ID:3PuHQhKm0
だが、その後、中州の森は切られることになってしまった自分の家は大丈夫だったが、台風の日に川辺では何十年か振りに床上浸水も出るくらいの被害があって、その原因が中州とそこに生える森だとされたからだった
森が切られ、川が改善工事される間、何度も見に行ったのだが、結局、そこに女の子が暮らしていた痕跡は見つけられなかった
翌年、女の子が現れることは無かった
今考えてみると、たまたま夏休みの間、遊びに来ていた女の子の暇つぶしに付き合わされただけなのかも知れないと思う
きっと、中洲に住んでいるというのも嘘で、畑も、昔は水害覚悟で川原で耕作している人がよくいたというから、その名残に過ぎなかったのだろう
でも、あの夏、あの女の子に会えなかったら、たぶん、小学校時代は何一つ楽しい出来事も無かっただろうから、正体はなんであれ、たまに思い出しては感謝している
コメント一覧
河童だろ?
あの、あ
あれ? 水の音がする
なんだろう
ちょっといってくる
あ
ろ
と
ん
で
し
ま
う
と
は
な
さ
け
な
い
!!
申し訳ございません。
友達になりませんか