゜ニンは激怒した。必ず、かの邪知暎虐のナりキを陀かねばならぬず決意した。゜ニンにはビゞネスがわからぬ。゜ニンは、圚日コリアの歌手である。歌をうたい、ダンスを螊っお暮らしお来た。けれども邪悪に察しおは、人䞀倍に敏感であった。きょう未明゜ニンは家を出発し、ママチャリ乗っお、電車に乗り換え、い぀もどおりふ぀うにこの事務所にやっお来た。゜ニンにはお金も、コネも無い。人気も無い。同じ事務所の、より子。ずツヌトップだ。このより子。は、ハヌモニヌプロモヌションの秘蔵っ子で、近々、メゞャヌデビュヌするずいう噂もある。しかしあくたで噂である。実際はただただむンディヌズレヌベルでやっお行くずいうこずだ。゜ニンには竹銬の友があった。䞊戞圩である。今はこの芞胜界で、アむドルをやっおいる。元々、ずいうグルヌプで歌手ずしおデビュヌしたのだが、圩だけが売れおしたい、ほかのメンバヌずは䞀觊即発の状態になっおしたったのだ。それゆえ、圩は゜ニンずいう友達を心から倧切に思っおいた。さお、事務所に着いた゜ニンは、少し芋回しお、呚囲の様子を怪しく思った。ひっそりずしおいる。元々繁盛しおいないのもあっお、事務所に掻気が無いのは圓たり前だが、けれども、なんだか、そればかりのせいでは無く、䌚瀟党䜓が、やけに寂しい。暢気な゜ニンも、だんだん䞍安になっお来た。偶然䌚った埌藀真垌を぀かたえお、䜕があったのか、先日ここに来たずきは、廃れおいるずいっおも、その䞭に、それなりの掻気があったはずだが、ず質問した。埌藀真垌は、銖を振っお答えなかった。しばらくたっお和田に䌚い、今床はもっず、語勢を匷くしお質問した。和田は答えなかった。゜ニンは䞡手で和田の䜓をゆすぶっお質問を重ねた。和田は、はばかる䜎声で、わずかに答えた。
「ナりキ様は、キャバクラに通われたす。」
「なぜ通うのだ。」
「幎頃だから、ずいうのですが、みんながみんなそうなるわけではないず思いたす。」
「ほかにも䜕かあるのか。」
「はい、以前はホテルから脱走を。それから、倱螪を。そのたた、日光ぞ。それから、京郜も。豪遊でございたす。戻っおからは、眰則である坊䞻頭になるこずも嫌がられたした。そのたた、埩垰を。倱螪䞭は携垯の電源を切っおおられたようでございたす。」
「おどろいた。囜王ナりキは乱心か。」
「いいえ、乱心ではございたせぬ。青春を、謳歌したい、ずいうのです。戻られおからは、臣䞋ずずもにキャバクラ通いをなされおいたそうでございたす。それが芋事にフラむデヌされお、今回、責任を取っお脱退なされたのでございたす。発売予定だったファヌストアルバムも䞭止ずなりたした。それから、むベントも。」
 聞いお、゜ニンは錻血が噎出した。「あきれた王だ。生かしお眮けぬ。」
 ゜ニンは、単玔な女であった。錻血を、垂れ流したたたで、のそのそナりキ邞にはいっお行った。たちたち圌女は、巡邏の譊吏に捕瞛された。調べられお、゜ニンの懐䞭からはキムチが出おきたので、隒ぎが倧きくなっおしたった。゜ニンは、ナりキの前に匕き出された。
「このキムチで䜕をする぀もりであったか。蚀え」暎君ナりキは静かに、けれども嚁厳をもっお問い぀めた。そのナりキのワキは真っ黒で、毛は、森林のように茂っおいた。
「を゜ロで出すのだ。」ず゜ニンは悪びれずに答えた。
「おたえが」ナりキは憫笑した。「仕方の無いや぀だ。おたえでは、俺の知名床にはかなわぬ。」
「蚀うな」ず゜ニンは、いきり立っお反駁した。「途䞭で投げ出すのは、最も恥ずべき悪埳だ。ナりキ様は、ファンの声揎すらも疑っお居られる。」
「疑うのが、正圓な心構えだず、俺に教えおくれたのは、おたえたちだ。ファンの心は、あおにならない。ファンも、もずもずは肉欲のかたたりさ。も、買っおはくれぬ。」暎君は萜ち着いお呟き、ほっず溜息を぀いた。「俺だっお、ブレむクするこずを望んでいたのだが。」
「なんの為のブレむクだ。玅癜に出る為か。」今床は゜ニンが嘲笑した。「 を解散に远いやっお、䜕が玅癜だ。」
「だたれ、カレヌラむスの女。」ナりキは、さっず顔を挙げお報いた。「宣䌝文句では、どんな倧袈裟な事でも蚀える。俺には、結局売れないこずが芋え透いおならぬ。おたえだっお、いたに、゜ロデビュヌの曲が、発売䞭止になっおも知らんぞ。」
「ああ、ナりキは利口だ。自惚れおいるがよい。私は、ちゃんず銖になる芚悟で居るのに。拟い食いなど決しおしない。ただ、――」ず蚀いかけお、゜ニンは足䞋に芖線を萜し瞬時ためらい、靎䞋の穎を芋぀めるず、「ただ、私に情をかけたい぀もりなら゜ロデビュヌの曲を発売䞭止にしお、銖にするたでに、しばらく時間を䞎えお䞋さい。たった䞀぀のレギュラヌ番組のオレ土に、出挔したいのです。オレ土に出挔しおみんなに別れを告げおから韓囜ぞ向かいたす。祖父の故郷です。ありたす。しかし必ず走りたす。」
「ばかな。」ず暎君は、しわがれた声で䜎く笑った。「ずんでもない嘘を蚀うわい。も走るずいうのか。海のずころはどうする。」
「船です。海のずころは船で枡りたす。しかしそれ以倖は党郚走るのです。」゜ニンは必死で蚀い匵った。「私は玄束は守りたす。私を、数週間蚱しおください。平畠が、私の出挔を埅っおいるのだ。そんなに私を信じられないならば、よろしい、䞊戞圩ずいうアむドルがいたす。私の無二の友人だ。圌女も私ず同時期に゜ロデビュヌを果たす予定だが、あれを、人質ずしおここに眮いお行こう。私が諊めおしたっお、月日の日暮れたで、韓囜にたどり着かなかったら、あの友人を、代わりに干しお䞋さい。」
 それを聞いおナりキは、残虐な気持ちで、そっずほくそえんだ。生意気なこずを蚀うな。どうせたどり着かないにきたっおいる。この嘘぀きに隙された振りをしお、攟しおやるのも面癜い。そうしお身代わりの女を、この業界から干しおやるのも気味がいい。人は、これだから信じられぬず、俺は悲しい顔しお、その身代わりの女の゜ロデビュヌ曲を発売䞭止にしお、女優の仕事も、枛らしおやるのだ。そのたた匕退に远い蟌んで、䞖の䞭の䞊戞圩奜きずかいう奎らどもに、ギャフンず蚀わしおやりたいものさ。
「願いを、聞いた。俺は韓囜で埅っおいる。その身代わりを、呌ぶがよい。そしお月日の日暮れたでに走っお来い。おくれたら、その身代わりを、きっず干すぞ。ちょっずおくれお来るがいい。おたえの゜ロデビュヌ曲だけは、ゆるしおやろうぞ。」
「なに、䜕をおっしゃる。」
「はは。歌手生呜が倧事だったら、おくれお来い。おたえの心は、わかっおいるぞ。」
 ゜ニンは口惜しく、地団駄螏んだ。ものも蚀いたくなくなった。
 竹銬の友、䞊戞圩は、深倜、ナりキ邞に召された。暎君ナりキの面前で、よき友ずよき友は、久しぶりで盞逢うた。゜ニンは、友に䞀切の事情を語った。䞊戞圩は無蚀でうなずき、゜ニンをひしず抱きしめた。友ず友の間は、それでよかった。䞊戞圩は瞄打たれた。゜ニンはすぐに出発した。初倏、満倩の星である。
 ゜ニンはその倜、䞀睡もせずに急ぎに急いでスタゞオぞ向かった。゜ニンがスタゞオぞ぀いたのは、攟送が始たる盎前だった。生攟送である。  の平畠や山口、加藀明日矎など、ほかの共挔者はみんな垭に぀いおいた。゜ニンず埮劙な関係の加藀明日矎も、゜ニンがよろめきながら歩いお来る疲劎困憊の姿を芋぀けお驚いた。そうしお、うるさく゜ニンに質問を济びせた。
「なんでもない。」゜ニンは無理に笑おうず努めた。「野暮甚ができた。韓囜に行かねばならぬ。あす、出発する。お土産も、買っおこよう。」
 明日矎はお土産ずいう蚀葉だけに反応した。
「今日はみなさんに私から蚀わなければならないこずがありたす。」
 攟送が始たるず゜ニンは、明朗だが䞁寧に、口火を切った。明日、韓囜ぞ向けお出発するこず、しばらく垰れないこず、別れを告げお自分のコヌナヌが終わるず、眠ったようにしおあたり口を開かなかった。自分がナりキに干されおしたうこずも、蚀えなかった。
 気が぀いたずきは、ドンドコ班ずよゐこ班が入れ替わる぀なぎのコヌナヌだった。ドンドコの平畠ず゜ニンだけが残っお、ぐっさんやあすみんは退出しおいく。代わりによゐこの二人が入っおくる。゜ニンは二人にも今床の旅のこずを告げた。゜ニンを笑わせたら勝ちずいう、゜ニンずミルクのコヌナヌも通垞通り行われた。平畠はたた゜ニンを笑わすこずができなかった。぀なぎのコヌナヌだけが唯䞀平畠の茝ける堎所だずいうのに。攟送が終わっお僅かなの間、よゐこの二人はむんむん蒞し暑いのもこらえ、陜気に励たしおくれた。゜ニンは䞀生ここにいたい、ず思った。この良い人たちずこれからもずっず仕事がしたいず願ったが、いたは、自分のからだで、自分のものでは無い。たたならぬ事である。゜ニンは我が身に鞭打ち、぀いに出発を決意した。玄束の日たでには、ただ十分の時がある。ちょっず䞀眠りしおそれからすぐに出発しよう、ず゜ニンは考えた。少しでも長く愚図愚図ず日本にずどたっおいたかったからだ。゜ニンほどの女にも、やはり未緎の情ずいうものはある。攟送盎埌、なぜかぐったりずしおいる平畠に近寄り、
「お぀かれさた。明日出発ですから今日はすぐ家に垰っおゆっくりず䌑みたす。目が芚めたら、すぐに高知ぞ出かける。そこからマラ゜ンをスタヌトしたす。私がいなくおも、平畠さんにはよゐこのお二人がいたす。だから寂しがらないで䞋さい。私のいち番嫌いなものは、人を疑う事ず、それから、嘘を぀く事。平畠さんも、それは、知っおいたすね。私がいなくなっおも、ぐっさんやあすみんずうたくやっおいっおください。私が話を振らなくおも平畠さんならきっずやれたす。誇りを持っお、続けおください。」
 平畠はだるそうにうなずいた。゜ニンは、わらっおスタッフたちにも䌚釈しお、スタゞオから立ち去り、うちに垰っおベッドにもぐり蟌み、死んだように深く眠った。
 目が芚めたずき、゜ニンは急いで跳ね起きた。南無䞉、寝過ごしたか、いや、ただ倧䞈倫、゜ニンはすぐに家をでお、高知ぞず向かった。高知に着くず、走るための身支床をしお、決意を新たに意志を匷めた。是非ずも、あのナりキに、人の信実の存するずころを芋せおやろう。そうしお笑っお、芞胜界から干されおやろう。゜ニンは、悠々ず身支床を終え、走り始めた。
 私は、぀けば、干される。干されるために走るのだ。身代わりの友を救うために走るのだ。ナりキの奞䜞邪知を打ち砎るために走るのだ。走らなければならぬ。そうしお、私は干される。若いずきから名誉を守れ。さらば、日本。若い゜ニンは、぀らかった。えい、えいず倧声を挙げお連日にわたっお走り続けた。高知垂を出お、高知県宿毛を暪切り、倧分県䜐䌯くぐり抜け、犏岡垂博倚に着いた頃には、芞胜界ぞの未緎も消え倱せおいた。オレ土メンバヌもきっず仲良くやっおいくだろう。私には、いた、䜕の気がかりも無いはずだ。たっすぐにゎヌルに行き着けば、それでよいのだ。そんなに急ぐ必芁もない。ゆっくり歩こう。ず持ち前ののん気さを取り返し、自分の歌をいい声で歌いだした。『愛はもっずそうじゃなくお』だ。ぶらぶら歩いお数キロ、そろそろ枯にたどり着いたかずいう頃、降っお湧いた灜難、船が出ないずいうのだ。゜ニンは呆然ず立ちすくんだ。今すぐにでも韓囜ぞ向かわないず間に合わない。高波がやむたでなんお埅っおいられない。゜ニンは海岞にうずくたり、女泣きに泣きながられりスに手を挙げお哀願した。「ああ、しずめたたえ、荒れ狂う波を 時は刻々に過ぎお行きたす。あず日ほどです。日埌の日没たでにゎヌルたで行き着くこずが出来なかったら、あの良い友達が、私のために干されるのです。」
 高波は、゜ニンの叫びをせせら笑う劂く、たすたす激しく荒れ狂う。波は波を呑み、うねり、煜り立お、そうしお時は、刻䞀刻ず消えお行く。今は゜ニンも芚悟した。泳ぎ切るより他に無い。ああ、神々も照芧あれ 接波にも負けぬ誠の偉倧な力を、いたこそ発揮しおみせる。゜ニンは、ざぶんず海に飛び蟌み、癟匹の倧蛇のようにのた打ち荒れ狂う波を盞手に、必死の闘争を開始した。満身の力を腕にこめお、抌し寄せ枊巻き襲いかかる波を、なんのこれしきず掻きわけ掻きわけ、目くらめっぜう獅子奮迅の人のこの姿には、神も哀れず思ったか、぀いに憐憫を垂れおくれた。波は治たり、幟分泳ぎやすくもなった。必死の祈りが倩にも届き、芋事、韓囜たで、泳ぎ着くこずが出来たのである。ありがたい。゜ニンは銬のように倧きな胎震いを䞀぀しお、すぐにたた先を急いだ。䞀刻ずいえども、むだには出来ない。数日間、走り続けた。ぜいぜい荒い呌吞をしながら峠をのがり、のがり切っお、ほっずした時、突然、目の前に䞀隊の山賊が躍り出た。よく芋るずメロン蚘念日だ。
「埅お。」
「䜕をするのだ。私は明日の日の入りたでに祖父の生たれ故郷たで行かねばならぬ。攟せ。」
「どっこい攟さぬ。持ちものを党郚眮いお行け。」
「私にはこの゜ロデビュヌ曲のの他には䜕も無い。その、ただ䞀床のデビュヌ曲も、これからナりキに砎棄されるのだ。」
「そのデビュヌ曲が欲しいのだ。」
「さおは、぀んく♂に芋限られたな。私を差し眮いおオヌディションに受かったくせに。」
 メロン蚘念日は、ものも蚀わず䞀斉に棍棒を振り挙げお゜ニンに襲いかかった。゜ニンはひょいず、からだを折り曲げ、飛鳥の劂くセクシヌ担圓の斉藀瞳に襲いかかり、その棍棒を奪い取っお、
「気の毒だが正矩のためだ」ず猛然䞀撃、たちたち、村田、倧谷、柎田の他の䞉人も殎り倒し、ひるんだ隙に、さっさず走っお峠を䞋った。䞀気に峠を駆け䞋りたがさすがに疲劎し、ふらふらず足がもた぀いた。翌朝、゜ニンは幟床ものめたいに危機を感じ、それでも、これではならぬ、ず気を取り盎しおは、よろよろず走った。午埌からは灌熱の倪陜がたずもに、かっず照り぀け、䜙力の無くなった゜ニンは、぀いに、がくりず膝を折った。立ち䞊がる事が出来ぬのだ。倩を仰いで、くやし泣きに泣き出した。ああ、あ、荒海を泳ぎ切り、メロン蚘念日を四人ずも打ち倒し韋駄倩、ここたで突砎しおきた゜ニンよ。真の勇者、゜ニンよ。今、ここで、疲れ切っお動けなくなるずは情けない。愛する友は、おたえを信じたばっかりに、やがお干されねばならぬ。゜ロデビュヌ曲も、発売䞭止にされる。おたえは、垌代の䞍信の人間、たさしくナりキの思う壺だぞ、ず自分を叱っおみるのだが、党身萎えお、もはや芋虫ほどにも前進かなわぬ。路傍の草原にごろりず寝ころがった。身䜓疲劎すれば、粟神もずもにやられる。もう、どうでもいいずいう、勇者に䞍䌌合いなふお腐れた根性が、心の隅に巣食った。私は、これほど努力したのだ。玄束を砎る心は、みじんも無かった。神も照芧、私は粟䞀杯に努めお来たのだ。苊しさのあたり、走っおいる車に身を投げようず思ったこずがあった。なにがなんだか刀らなくなっお、叫びながらも走ったこずもあった。それでも、ここたで来たのだ。動けなくなるたで走っお来たのだ。私は䞍信の埒では無い。ああ、出来る事なら私の胞を裁ち割っお、真玅の心臓をお目に掛けたい。愛ず信実の血液だけで動いおいるこの心臓を芋せおやりたい。けれども私は、この倧事な時に、粟も根も尜きたのだ。私は、よくよく䞍幞な女だ。玅癜も駄目だった。ファヌストアルバムも駄目になった。レギュラヌ番組も、終了した。そのうえ、たった䞀぀守り抜いおきた友ずの信実たでがいた、その蚌明を困難ずされおいる。私は、きっず笑われる。私の䞀家も笑われる。私は友を欺いた。䞭途で倒れるのは、はじめから䜕もしないのず同じ事だ。ああ、もう、どうでもいい。これが、私の定たった運呜なのかも知れない。圩よ、ゆるしおくれ。君は、い぀でも私を信じた。私も君を、欺かなかった。私たちは本圓に良い友ず友であったのだ。いちどだっお、暗い疑惑の雲を、お互いの胞に宿したこずは無かった。いただっお、君は私を無心に埅っおいるだろう。ああ、埅っおいるだろう。ありがずう。圩。よくも私を信じおくれた。それを思えば、たたらない。友ず友の間の信実は、この䞖で䞀ばん誇るべき宝なのだからな。圩、私は走ったのだ。君を欺く぀もりは、みじんも無かった。信じおくれ 私は急ぎに急いでここたで来たのだ。荒海を突砎した。メロン蚘念日の囲みからも、するりず抜けお䞀気に峠を駆け䞋りお来たのだ。私だから、出来たのだよ。ああ、この䞊、私に望み拟うな。攟っお眮いおくれ。どうでも、いいのだ。私は負けたのだ。だらしが無い。笑っおくれ。ナりキは私に、ちょっずおくれお来い、ず耳打ちした。おくれたら、身代わりを干しお私を助けおくれるず玄束した。私はナりキの卑劣を憎んだ。けれども、今になっおみるず、私はナりキの蚀うたたになっおいる。私は、おくれお行くだろう。ナりキは、ひずり合点しお私を笑い、そうしおこずもなく私を攟免するだろう。そうなったら、私は、死ぬより぀らい。私は、氞遠に裏切り者だ。地䞊で最も䞍名誉の人皮だ。圩よ、私も匕退するぞ。君ず䞀緒に匕退させおくれ。君だけは私を信じおくれるにちがい無い。いや、それも私の、ひずりよがりか ああ、もういっそ悪埳者ずしおこの芞胜界で生きのびおやろうか。土曜日にはラゞオの番組がある。平畠も居る。ぐっさんやあすみんは、たさか私を番組から远い出すような事はしないだろう。正矩だの、信実だの、愛だの、考えおみれば、くだらない。人を螏み぀けお自分が生きのびる。それが芞胜界の定法ではなかったか。ああ、䜕もかも、ばかばかしい。私は、醜い裏切り者だ。どうずも、かっおにするがよい。やんぬるかな。――四岐を投げ出しお、うずうず、たどろんでしたった。
 ふず耳に、せんせん、氎の流れる音が聞こえた。そっず頭をもたげ、息を呑んで、耳をすたした。すぐ足もずで、氎が流れおいるらしい。よろよろ起き䞊がっお、芋るず、岩の裂け目からこんこんず、䜕か小さく囁きながら、枅氎が湧き出おいるのである。その泉に吞い蟌たれるように゜ニンは身をかがめた。氎を䞡手ですくっお、䞀くち飲んだ。ほうず長い溜息がでお、倢から芚めたような気がした。歩ける。行こう。肉䜓の疲劎回埩ず共に、わずかながら垌望が生たれた。矩務遂行の垌望である。わが身を犠牲にしお、名誉を守る垌望である。斜陜は赀い光を、暹々の葉に投じ、葉も枝も燃えるばかりに茝いおいる。日没たでには、ただ間がある。今日が最埌、私を埅っおいる人があるのだ。少しも疑わず、静かに期埅しおくれおいる人があるのだ。私は、信じられおいる。私の歌手生呜などは、問題ではない。匕退しおお詫び、などず気のいい事は蚀っお居られぬ。私は、信頌に報いなければならぬ。いたはただその䞀事だ。走れ ゜ニン。

           /ノノノノ人ボ
           从0‘ ‘;0从っ
           (぀    /
              ⌒
           .し⌒^
           ,,,,,

 私は信頌されおいる。私は信頌されおいる。先刻の、あの悪魔の囁きは、あれは倢だ。悪い倢だ。忘れおしたえ。五臓が疲れおいるずきは、ふいずあんな悪い倢を芋るものだ。゜ニン、おたえの恥ではない。やはり、おたえは真の勇者だ。再び立っお走れるようになったではないか。ありがたい 私は、正矩の士ずしお、胞を匵っお匕退するこずが出来るぞ。ああ、陜が沈む。ずんずん沈む。埅っおくれ、れりスよ。私はデビュヌしおから今日たで、いや、この䞖に生を䞎えられたずきから正盎な女であった。正盎な女のたたに匕退させおください。
 路行く人を抌しのけ、跳ねずばし、゜ニンは黒い颚のように走った。通りかかったファミレスの、そのテヌブルのたっただ䞭を駆け抜け、客垭の人たちを仰倩させ、りェむトレスにぶち圓たり、厚房を飛び越え、少しず぀沈んでいく倪陜の、十倍も速く走った。䞀団の旅人ずすれちがった瞬間、䞍吉な䌚話を小耳にはさんだ。「いたごろは、あの女のデビュヌ曲も、プレス機にセットされおいるよ」ああ、その女、その女のために私は、いたこんなに走っおいるのだ。その女を芞胜界から消えさせおはならない。急げ、゜ニン。おくれおはならぬ。愛ず誠の力を、いたこそ知らせおやるがよい。颚態なんかはどうでもいい。゜ニンは、いたは、ほずんど党裞䜓であった。ずいうより、裞゚プロンであった。ファミレスをくぐり抜けたずきに違いない。぀いでに䞀くち食べさせおもらったカレヌが蟛すぎお、二床、䞉床、口から火が吹き出た。遠くゎヌルの方に目をやるず、芋える。はるか向こうに小さく、塔楌が芋える。そこがゎヌルだ。塔楌は倕陜を受けおきらきら光っおいる。
「ああ、゜ニン様。」うめくような声が、颚ず共に聞こえた。
「誰だ。」゜ニンは走りながら尋ねた。
「川瀬でございたす。貎女のお友達の䞊戞圩様のマネヌゞャヌでございたす。」マネヌゞャヌず名乗るその男も、゜ニンの埌に぀いお走りながら叫んだ。「もう、駄目でどざいたす。むだでございたす。走るのは、やめお䞋さい。もう、あの方をお助けになるこずは出来たせん。」
「いや、ただ陜は沈たぬ。」
「ちょうど今、あの方のがプレス機で砎壊されるずころです。ああ、あなたは遅かった。おうらみ申したす。ほんの少し、もうちょっずでも、早かったなら」
「いや、ただ陜は沈たぬ。」゜ニンは胞の匵り裂ける思いで、赀く倧きい倕陜ばかり芋぀めおいた。走るより他は無い。
「やめお䞋さい。走るのは、やめお䞋さい。今は自分の゜ロデビュヌが倧事です。あの方は、あなたを信じお居りたした。刑堎に匕き出されおも、平気でいたした。ナりキ様が、さんざんあの方をからかっおも、゜ニンは来たす、ずだけ答え、匷い信念を持ち぀づけおいる様子でございたした。」
「それだから、走るのだ。信じられおいるからこそ走るのだ。間に合う、間に合わぬは問題ではないのだ。゜ロデビュヌも芞胜生掻も問題ではないのだ。私は、なんだか、もっず恐ろしく倧きいものの為に走っおいるのだ。぀いお来い 川瀬。」
「ああ、あなたは気が狂ったか。それでは、うんず走るがいい。ひょっずしたら間に合わぬでもない。走るがいい。」
 蚀うにや及ぶ。ただ陜は沈たぬ。最埌の死力を尜くしお、゜ニンは走った。陜は、ゆらゆら地平線に没し、たさに最埌の䞀片の残光も、消えようずした時、゜ニンは疟颚の劂く䌚堎に突入した。間に合った。
「埅お、そのを壊しおはならぬ。゜ニンがたどり着いた。玄束通り、いた、たどり着いた。」ず倧声で䌚堎の矀衆にむかっお叫んだ぀もりであったが、喉が぀ぶれおしわがれた声がかすかに出たばかり、矀衆はひずりずしお圌女の到着に気が぀かない。りリナリかなんかでポケットビスケッツの䌁画でお銎染みの、プレス機にセットされたが、鈍くひかり、䞊戞圩も、いすに座っお瞛られおいる。゜ニンはそれを目撃しお最埌の勇、䜕日か前、荒海を泳いだように矀衆を掻きわけ、掻きわけ、
「私だ、刑吏 干されるのは、私だ。゜ニンだ。圌女を人質にした私は、ここにいる」ず、かすれた声で粟䞀杯に叫びながら、぀いにはゎヌルのテヌプを切り、瞛られお捕らえられた友の足もずに、どっず倒れこんだ。矀衆は、どよめいた。あっぱれ。ゆるせ、ず口々にわめいた。䞊戞圩の瞄は、ほどかれたのである。
「圩。」゜ニンは県に涙を浮かべお蚀った。「私を殎れ。ちから䞀ぱいに頬を殎れ。私は、途䞭で䞀床、悪い倢を芋た。君がもし私を殎っおくれなかったら、私は君ず抱擁する資栌さえ無いのだ。殎れ。」
 圩は、すべおを察した様子でうなずき、䌚堎䞀ぱいに鳎り響くほど音高く゜ニンの右頬を殎った。殎っおから優しく埮笑み、
「゜ニン、私を殎れ。同じくらい音高く私の頬を殎れ。私はこの数週間、たった䞀床だけ、ちらず君を疑った。君が私を殎っおくれなければ、私は君ず抱擁できない。」
 ゜ニンは腕に唞りを぀けお圩の頬を殎った。
「ありがずう、友よ。」二人同
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! ! ! ! ! ! ! ! ! ! ! !

コメント䞀芧16件

1  åå‰::2009/09/01(火) 10:41:06  ID:Gp8w8Nvd 携垯からの投皿
長いよハゲ
33
2  åå‰::2009/09/01(火) 10:46:46  ID:1TU5Qpl0 携垯からの投皿
キムチで䞀䜓䜕する぀もりだったのか
11
3  åå‰::2009/09/01(火) 10:53:35  ID:oWspKm9l 携垯からの投皿
6ペヌゞに省略されおるから
8行で説明しおくれ
5
4  åå‰::2009/09/01(火) 11:48:33  ID:JwkG3ooo PCからの投皿
おたけにほが改行がないから、文字がビッシリ。
無駄に行間があいおるのも倚い䞭、ビッシリっおのもすごい。
2
5  åå‰::2009/09/01(火) 11:48:34  ID:eibDXSz7 PCからの投皿
読めない
6
7  åå‰::2009/09/01(火) 12:08:56  ID:Lx00msfk 携垯からの投皿
タむトルはDr.ストレンゞラブのパロディだな。
あず、※6、あんたふざけんなよチンカス野郎。
39
8  åå‰::2009/09/01(火) 15:06:56  ID:QL1M2LJN 携垯からの投皿
1 2 3 4 5 6
('A`)
↓コメントを芋る
※
('A`;)
10
9  åå‰::2009/09/01(火) 17:00:13  ID:lbKhdQko PCからの投皿
開く前から「これ、やべぇ」ず思い぀぀開いおしたう右人差し指
そしお開いおみお「ああ、やっぱりね」ず䜕も読たずに※欄ぞ行っおみるず
※6にたたむラ぀いた人の数→
47
10  åå‰::2009/09/01(火) 17:57:42  ID:uiBT1MON 携垯からの投皿
コメント欄の文字数制限ほしいね。
だから管理人さん、おねがい
黒のコスプレでもなんでもしたすから
2
11  åå‰::2009/09/01(火) 19:18:11  ID:rqOmd/H3 PCからの投皿
゜ニンは たで読んだ
0
コメントの続き11〜16件目
12  åå‰::2009/09/01(火) 22:56:47  ID:H0SL9bku 携垯からの投皿
投皿者は顔を赀らめた
3
13  åå‰::2009/09/02(æ°Ž) 08:38:29  ID:puJ/iBBS 携垯からの投皿
※13はすごくいいダツそう。
0
14  åå‰::2009/09/02(æ°Ž) 08:41:24  ID:puJ/iBBS 携垯からの投皿
ああ ※12だった 
いいダツだな※12お前 
1
15  åå‰::2009/09/02(æ°Ž) 12:04:18  ID:nM5Clax3 携垯からの投皿
※12 èµ€é¢ã—たね
0
16  åå‰::2010/05/26(æ°Ž) 18:25:22  ID:YnbfpQ5X PCからの投皿
Lots of specialists tell that <a href="http://lowest-rate-loans.com/topics/personal-loans">personal loans</a> help people to live their own way, just because they are able to feel free to buy necessary stuff. Furthermore, various banks give commercial loan for different persons. 
0
17  åå‰::2011/05/03(火) 18:22:49  ID:jrmCeqdZ PCからの投皿
It's very interesting to read this story.

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