319 名前: 風と木の名無しさん [sage] 投稿日: 2010/04/28(水) 21:52:04 ID:SJcdDfHMO
アドバルーン見張りのアルバイト、ご存じですか? デパートの屋上などでアドバルーンが飛んでいかないかを見張るだけの
シンプルなお仕事なのですが、この見張り人にバルーンが惚れてしまわない保証は
あるでしょうか。
見張り人にとってはただのアルバイトなので、
バルーン自体には何の感慨も持たないかもしれません。
しかしそれでも……いえ、だからこそ、バルーンは日がな一日無感情な目で
自分を見つめる見張り人に、どうしようもなく惹かれてしまうはずです。
めまぐるしく入れ替わる人々を挟んで、唯一変わらずに向かい続ける彼ら。
バルーンから話しかけることはかなわず、また見張り人も決して彼には話しかけません。
ただ彼をまっすぐに捉えるだけのその瞳に、バルーンはますます悶々とします。
挙げ句、「いっそ風に吹かれて飛んでしまえばこの人の気を引けるだろうか……」という
痛ましい冒険心と、「いや、自分の我が侭でこの人を困らせるわけにはいかない」という
けなげな良心とで板挟みになり、バルーンの心は長い一日をゆらゆらと揺れ続けなければ
ならないのです。
それでも結局思い切れないままに日は沈み、見張り人は帰ってしまいます。
後悔先に立たず、夜灯かりの点き始めた街をどれだけ見回しても、今や豆粒のように
小さくなった見張り人は見つけられません。
失意の中、バルーンは店の人間に乱暴に引き下ろされます。
抜けていく空気とともに、見張り人への想いまで暗い空に消えてゆきそうで、
バルーンは悲しみに身を萎ませるのです。
コメント一覧
触れただけで萎んでしまうの
見つめていてね
見つめていてね
餌を与えないで下さい
まったくピンと来ない。
楽だと言うが、一日立ちっぱでやる事なしは逆にめちゃくちゃつらいぞ。
アドバルーンを監視する係を置かざるを得ない根拠法令は
消防法