180 名前:1/3[]2010/06/13(日) 02:41:36.93 ID:Oz64R9aA0
深夜になって忘れ物に気付き、学校に戻った。真っ暗になった3階の廊下を歩いていると、俺の足音に合わせるかのように背後から「テケテケテケ…」と足音がした。
驚いて振り返ると、なんと下半身がない女の子が猛スピードで迫ってきているではないか!
「うわぁーーーーー!」
女の子は俺の悲鳴ににやりと笑うと、更にスピードをあげ、目の前まで迫ってきた。
俺がわなわなと震えたまま立ちつくしていると、彼女はついに僕の足下へ!
俺は思わず叫んでしまった。
「あ、あんた、どうしたんだよ!?車椅子は!?」
女の子は手は床につけたまま、大きな瞳できょとんと俺を見上げていた。
俺は更に怒りで体が震えた。
こんな可愛い子の車椅子を隠して、こんな深夜になるまで置き去りにするなんて。
あんなに急いで這ってくるなんて、よっぽど心細かったに違いない。俺はいじめは大嫌いだ。
「ちょっと待ってろ!」
俺は保健室まで走り、大急ぎで車椅子を持ってきて、彼女を座らせてあげた。
「もう大丈夫だ。ひどい奴がいるもんだな」
「…あ、あんた、怖くないの?」
「うちのじいちゃんも片足がなくて車椅子を使ってるからな。全然平気さ」
「そうじゃなくて!あたしは!」
「いいって!足を無くした時の話なんてしなくても…」
「いやだからそうじゃなくて!あたしの顔とか怖くないの!?」
「へ?別に怖くないけど…。つかむしろ可愛い方じゃん?」
女の子はみるみる内に顔を赤らめ「ば、ばっかじゃないの!」と言って車椅子から飛び降り、
来た時と同じように手だけ使って走り去ってしまった。
181 名前:2/3[]2010/06/13(日) 02:42:14.40 ID:Oz64R9aA0
翌日女の子のことが気になった俺は、また深夜に学校へ行ってみた。昨日と同じように廊下をゆっくりと歩くと、また背後から「テケテケテケ…」と足音がする。
振り返って、やあ、と笑顔を向けると、女の子はぱぁっと嬉しそうな笑顔を浮かべたが、
はっとしたようにまた昨日のようなにらみ顔に戻って、俺の足下まで無言で這ってきた。
「べ、別にあんたに会いたくて出てきたわけじゃないのよ。
あたしは深夜に廊下を歩く人間を、こ、怖がらせたいだけで」
「俺は怖くないって言ったじゃん」
「い、いやだから、それをどうにか怖がらせようと思ったの!」
「無理だよ。あんたみたいに可愛い顔でいくら驚かせてきたって、全然怖いと思えないって」
「な、なによ!ばかにしてるの!?」
「バカになんてしてないよ。ほんとに可愛いもん。俺の好みだし」
「…あ、足がないのに?」
「だから俺そういうの気にしないから」
「深夜にしか出てこれないんだけど…」
「俺夜型だし全然平気。むしろ助かるくらい」
そう言ってしゃがみ込んで彼女の顔を間近で見た。色が白くて本当に可愛い。
彼女はびっくりしていたが、俺が笑うとちょっと笑ってくれた。
間近で見る笑顔は正しく天使のようだった。
しかしまたしてもはっとしたように必死で恐い顔を作り、俺を睨む。
その顔が赤らんでいるように見えるのは目の錯覚じゃないと思う。
183 名前:3/3[]2010/06/13(日) 02:42:25.40 ID:Oz64R9aA0
「へ、変なやつ!」そう言って彼女はまた走り去る。しかしふと立ち止まり、くるりと振り返って俺に叫んだ。
「いつもは1階の廊下にいるから…。べ、別にあんたなんか来なくてもいいけど!」
それ以来毎晩1階の廊下で彼女と会っていますが、これはデートじゃないんだそうです。
まあ、俺もキスするまではデートとは呼べないかなと思ってる、と彼女に言うと、
彼女は顔を真っ赤にして「ばか…」と呟いて目を潤ませて俺を見詰めてきます。
そして眼をそっとつむってきたので、この流れは・・・と俺も覚悟を決めました。
深呼吸をすると彼女の肩を掴み、そっとその唇に・・・・
「破ァ!」
突如後方から放たれた青白い光が彼女を吹き飛ばしました
彼女は光に照らされると少し悲しげに笑い、口だけで「バイバイ」と言ってそのまま消えて行きました。
消える最後の瞬間に『一緒にいられて本当に楽しかったよ・・・ありがとう』と声にならぬ声が聞こえた気がした。
突然の別れに茫然とした俺の肩を部活の先輩であるTさんがぽんと叩いた
「危なかったな・・・いや、いろんな意味で危なかった」
気がついたら俺はTさんの上に馬乗りになると、泣きながら全身全霊を込めて殴りつけていた。
先輩だからって全てが許されるわけじゃない。俺は彼女との思い出を胸にそう思った。
コメント一覧
まで読んだ
あえて憎まれ役を買ってでたんだよ
Tさんは彼の事が好きだったのさ
ムーニーマンのTさん
/‾⌒⌒ヽ
/ /‾‾‾\ ち
|| / \| く
|/ ´` | し
(6 つ / ょ
| //⌒⌒丶 う
| \ ‾ ノ :
| 7‾ :
∧∧///‾‾ソ‾)
/ /‾‾‾\
おち 7 / / \丶
おく / | ノ ヽ |
|し L | r ⌒)|
|ょ // //‾‾丶
|お > / / __ |
|お/ / / /—イ ノ
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厂 || ||
VV| | ||⌒)||
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/ \ ‾\__ノ
読んだからぶち壊したんだろw
過程はどうあれ、結果的には霊が人に取り憑いた形になっている
そうなれば取り憑かれた人はおそらくだが衰弱し、やがては死ぬだろう
そのとき、果たして彼女は何を思うだろう
愛する人が自分のせいで弱っていく姿
苦しんでるのに、無理していつものように毎晩学校に来てくれる彼
見るに耐えかねて彼女は彼に言った
「もう来ないで!」
けれど、彼は彼女の言うことを聞かない
「このままだとあなたは死んじゃうのよ!」
すると、彼はこう優しく微笑みながらこう言った
「そしたら、いつでも君に会えるだろ?」
彼女は何も言い返せなかった
自分が現世に留まる限り、彼は例えどんなに苦しくても彼女に会いに来るだろう
それが決して嬉しくないわけがない
たけど、それ以上に彼に生きて幸せになってもらいたい
そう願い、彼女はこの世から消えた
翌日、目が覚めた彼はある異変に気づく
そう、身体の調子がよくなっていたのだ
今までの倦怠感や疲労感等がまるで初めからなかったかのようになくなっていた
しかし、彼はただ泣くことしか出来なかった
彼はわかったのだ
彼女がもうこの世にいないことを
自分のために成仏したのだと
そして憎んだ、自分の無力さを
そして呪った、自分が生きていることを
この後、彼がどうなるのかはわからない
ただ、Tさんはこうなることが分かっていたんじゃないだろうか
お互いが辛い思いをしなくて済むように
取り返しがつかなくなる前に
だからTさんは彼にこう言ったのだろう
「危なかったな・・・いや、いろんな意味で危なかったな」と
つまりこの後本物が来てなんとかしてくれるんだよ
ミックスさせた創作