480 名前:本当にあった怖い名無し [sage] :2010/08/17(火) 00:52:07 ID:zKqYkWU20
俺が子供の頃体験した話し。 俺が物心ついた頃から、うちの庭にはよく、女の子が入ってきた。
歳は10歳ぐらいで、ニコニコと笑って俺の遊び相手になってくれた。
両親が共働きだったから、一人で留守番することも(短時間だが)
多く、そんなときはいつもその子と遊んでいた。
女の子は両親には見えないらしく、「おねーちゃんと遊んでる」
なんて母親に言っても「どこにいるの?」って返事ばかり。
でもそんなのは子供にとってはどうでもいい事だったのだろう。
俺はあまり気にせず、そういうもんなんだと当時は思っていた。
女の子は決まって、庭の一本の木の近くで遊んでくれた。
木登りしてみせてくれたり、虫を捕まえたり。木陰で一緒に
昼寝したりもした。近所にあまり同世代の子供がいなかったせいもあり、
歳は離れていたがとても良い友達のような関係だった。
だが、小学校に入り、社会性が芽生えてくると、「周りと違う」
という気持ちが出始めた。女の子とはあまり遊ばなくなり、
たまに遊んだときも「ねえ、なんでほかの人には見えないの?」と
しつこく女の子に聞いたりした。
そんなときは決まって、女の子は「ごめんね」と困ったような笑顔で
木の陰に隠れてしまい、それっきり消えてしまうのが常だった。
でも、たまには無性に女の子と遊びたくなり、追いかけっこしたり
地面に棒で絵を書いたりして無邪気に遊ぶこともあった。
友達というよりは、兄弟に近い関係だったのかもしれない。
481 名前:本当にあった怖い名無し [sage] :2010/08/17(火) 00:52:58 ID:zKqYkWU20
そんな日々を過ごし、2年生になる直前の3月、俺は一家で 引っ越すことになった。父親の転勤が急遽決まったということで、
慌しく引越しの準備をした。
女の子は、それを寂しそうに眺めていた。俺も女の子と別れるのが
つらく、準備を手伝うことでそれを紛らわそうとしていたが、
こらえきれずとうとう泣き出してしまった。
普段、仕事でいつも遅くまで帰ってこない父親も、当然引越しの
準備をしていたが、俺の泣いている様子を見て優しく声をかけてきた。
「○○、寂しいかもしれないけど、あっちの家は広くて、新しくて
きっと楽しいぞ」
違う、そんなんじゃない、と俺は更に泣いた。あそこにいる子と
会えなくなるのが嫌なんだ、あの木のところにいる女の子だよ、と。
父親の動きが一瞬止まって、木のところをゆっくりと見た。
そして、父親の目から涙がつーっと垂れてきた。
お前、ずっと居たのか。そうか、その木、お前の木だもんな。
父親がそういうと、女の子はニコニコ笑って答えた。
そうだよ、パパが植えてくれたんだよ。私の記念樹。
そう言うと、女の子の身体がすぅっと浮き上がり始めた。
母親も呆気にとられてその様子を見ている。父親は女の子に叫んだ。
ずっと○○を見ててくれたんだな。ありがとう。ごめんな、気づいてやれなくて。
女の子はニッコリと微笑んで、空に浮かんで、消えた。
482 名前:本当にあった怖い名無し [sage] :2010/08/17(火) 00:55:08 ID:zKqYkWU20
俺はなぜかその時、ああもう、この子とは二度と会えないんだな、と思った。 だけど不思議と悲しくはなく、人生で初めての「切ない」という気持ちになった。
後で聞いた話だが、父親と母親は再婚して、俺が生まれた。
父親は初婚が早かった。いわゆるデキ婚だ。生まれた娘は10歳のとき、
交通事故で死んでしまった。娘を失って大きな喪失感を味わった父親と
前の奥さんは、それが原因で離婚していた。
女の子とよく遊んだあの木は、娘が生まれたときに父親が植えた記念樹だった。
そういえば、女の子と遊んでいるとき、女の子はよく言った。
これ、私の木なんだよ、と。
引っ越したあとも、記念樹は新しい住人によって大切に育てられている。
今でもたまに立ち寄ると、当時のことを思い出して、懐かしさと切なさがこみあげてくる。
コメント一覧
糞オカルトども
ってオチがくるかと思った。
愛しさだけで良いんじゃないかな
あれだ、※8は屍鬼に出てくるあいつみたいだ。なんていったっけな…
ただ、女の子が空に浮かんだ時、
パンツは見えたのか、
あるいはパンツをはいていなかったのか、
パンツをはいていたなら
その色や柄はどうだったのか、
また食い込み具合はどうだったか、
その点が描写されていないのが残念だ。
くさくねーーーッ!!