三ヵ月前、義姉が死んだ。
もともと体は弱かったが、脳に出来ていた血栓は遺伝的な病気だったらしく、義母と同じ突然の死だった。
俺を産んですぐ亡くなった母、再婚してすぐ亡くなった義母。
彼女等に代わり幼い頃から俺の面倒をみてくれた義姉。
その突然の死は俺の心を喪失させるには十分すぎた。
とても繊細で優しかった義姉…
もう彼女の姿を見ることは出来ない。
もう彼女の声を聴く事は出来ない。
そう思うともう何もかもどうでも良くなり俺は堕落していった。
義姉の居ない世界。
それはただ灰色に染まった荒涼とした世界。
そんな世界で生きていくには俺は弱すぎたらしい。
自ら決別すべく向かったのは俺と義姉の思い出の公園だった。
「浩平は大きくなったら何になりたいのかしら?」
「うん!ボク、おねーちゃんのお婿さんになる!」
「…ふふ、そうね…そうなったら、素敵ね」
幼い頃の思い出が甦る。
人生の締め括りにはここしかない。
俺は十分な強度を確認した木の枝にロープを括り付けて椅子をセットした。
「姉さん、ゴメン…」
なんとなく謝ると椅子に乗り、縄に手をかける。
「ダメよ浩平」
幻聴か?義姉の声が聞こえた。
「そんな事してはダメよ浩平」
幻聴じゃない!
俺が振り向くとそこには
以前と変わらぬ
義姉の姿があった。
「姉さん…」
「浩平、そんな事はしてはダメ。貴男は強い子でしょう?」
俺の頬をたおやかな掌で優しく撫でながら義姉は俺を諭す。昔そうしたように。
「でも姉さんがいない世界は…寒いんだ。寒くて寒くてとても耐えられない」
「そう…浩平の心は『私』に飢えているのね」
義姉がそういうのならそうだろう、彼女は俺以上に俺を理解しているのだから。
「『私』は今此処にいる…そして貴男は『私』を求めている。
分かっているわよね、浩平…?」
義姉は暖かい掌で俺の顔を包み込み、その端正な顔を近付けてきて言った。
「私と…
ファイトなさい」
カーン、とどこからかゴングの音が響くと義姉は両拳をガッチーンと打ち付けて俺に組みかかってきた。
あれよあれよと言う間に引き倒されマウントを獲られる。
「え??え?」
「いまどきの幽霊はブラジリアン柔術くらい使えないとやっていけないのよ、浩平」
義姉はギシギシと拳を固めるながら俺に言う。
「拳は強く強く握りこむのよ、でないと骨を痛めてしまうわ」
「ちょ、まっ…」
「ジェノッサァーイッ!!」
オタケビと共に俺の顔面に拳を何度も何度も叩きこむ義姉。
「アンタのせいでカレシをつくる暇なんて無いまま死んじゃったじゃない!
思い知れ!
このシスコンの包茎野郎が!」
薄れゆく意識の中で俺は思った。
(生きてやる―こんなビッチの後追いなんて真っ平だ!)
と。
もともと体は弱かったが、脳に出来ていた血栓は遺伝的な病気だったらしく、義母と同じ突然の死だった。
俺を産んですぐ亡くなった母、再婚してすぐ亡くなった義母。
彼女等に代わり幼い頃から俺の面倒をみてくれた義姉。
その突然の死は俺の心を喪失させるには十分すぎた。
とても繊細で優しかった義姉…
もう彼女の姿を見ることは出来ない。
もう彼女の声を聴く事は出来ない。
そう思うともう何もかもどうでも良くなり俺は堕落していった。
義姉の居ない世界。
それはただ灰色に染まった荒涼とした世界。
そんな世界で生きていくには俺は弱すぎたらしい。
自ら決別すべく向かったのは俺と義姉の思い出の公園だった。
「浩平は大きくなったら何になりたいのかしら?」
「うん!ボク、おねーちゃんのお婿さんになる!」
「…ふふ、そうね…そうなったら、素敵ね」
幼い頃の思い出が甦る。
人生の締め括りにはここしかない。
俺は十分な強度を確認した木の枝にロープを括り付けて椅子をセットした。
「姉さん、ゴメン…」
なんとなく謝ると椅子に乗り、縄に手をかける。
「ダメよ浩平」
幻聴か?義姉の声が聞こえた。
「そんな事してはダメよ浩平」
幻聴じゃない!
俺が振り向くとそこには
以前と変わらぬ
義姉の姿があった。
「姉さん…」
「浩平、そんな事はしてはダメ。貴男は強い子でしょう?」
俺の頬をたおやかな掌で優しく撫でながら義姉は俺を諭す。昔そうしたように。
「でも姉さんがいない世界は…寒いんだ。寒くて寒くてとても耐えられない」
「そう…浩平の心は『私』に飢えているのね」
義姉がそういうのならそうだろう、彼女は俺以上に俺を理解しているのだから。
「『私』は今此処にいる…そして貴男は『私』を求めている。
分かっているわよね、浩平…?」
義姉は暖かい掌で俺の顔を包み込み、その端正な顔を近付けてきて言った。
「私と…
ファイトなさい」
カーン、とどこからかゴングの音が響くと義姉は両拳をガッチーンと打ち付けて俺に組みかかってきた。
あれよあれよと言う間に引き倒されマウントを獲られる。
「え??え?」
「いまどきの幽霊はブラジリアン柔術くらい使えないとやっていけないのよ、浩平」
義姉はギシギシと拳を固めるながら俺に言う。
「拳は強く強く握りこむのよ、でないと骨を痛めてしまうわ」
「ちょ、まっ…」
「ジェノッサァーイッ!!」
オタケビと共に俺の顔面に拳を何度も何度も叩きこむ義姉。
「アンタのせいでカレシをつくる暇なんて無いまま死んじゃったじゃない!
思い知れ!
このシスコンの包茎野郎が!」
薄れゆく意識の中で俺は思った。
(生きてやる―こんなビッチの後追いなんて真っ平だ!)
と。
コメント一覧
大っ嫌い
米7見てドン引き…
前半のフリからもう寒い
好みはあると思うが、少なくともドン引きはねーだろ
とは思う
いや、「ユメミルクスリ」だ。
後半そのまんまだw
意味わかんねーし
あやうく米23に釣られるとこだった