私にはいとこがいる。
引きこもりのいとこである。
35歳の彼女は、中学生のころイジメが原因で登校拒否を起こして、およそ20年間部屋から出て来ない。
年に5回ほど親戚の家を訪れる私も、もう随分と見かけた事がなかった。
彼女の部屋は家の一番奥の林に面したところにある。
常に湿気に悩まされており、部屋中もう、カビだらけだと言う。
親も立ち入れないため、部屋は荒れ放題で、入り口には使わなくなったスチール製のベッドが、バリケードのように立ちふさがる。
そんなところで、彼女は一日中電気もつけず、長い間暮らし続けた。
そんな彼女の時が止まってからおよそ20年目の事である。
私はとある噂を叔母から耳にした。
「あの子に彼氏が出来た」
私は耳を疑った。一体どうやって彼氏を作ったのか、一体どうやって付き合っているのか。
「インターネットで知り合ったらしい」
なるほど、それは分かった。
さすがにそれ以外の道がない事は薄々感づいていた。
しかしどうやって付き合っているのか。まさかネット上だけでの付き合いじゃないだろう。
それでは親に報告できるほどの付き合いとは言えないだろう。
「彼氏が時々家に遊びに来るよ」
なるほど、彼は大阪から静岡の山奥まで電車に乗ってやってきて、そして駅からタクシーにのって彼女の家まで遊びにきて、家のチャイムをピンポーンと鳴らし、両親に「おじゃまします」と挨拶をして、そして廊下を歩いて彼女の部屋の前まで来て、ノックしてから入室しているという事なのだ。
マジで。そんなバカな!
しかし彼らはその後もそのような形態の交際を続け、すくすくと二人の愛を育て続けた。
そして先日、彼女は大阪の彼の実家に嫁に行ってしまった。交際二年目の事である。
大丈夫なのか。
生活能力というもの以前に、人と接した事がここ数年なかった彼女に、彼の両親と同居する事は可能なのか。
一体彼女がどんな生活を送っているのか、全く検討が付かなかった。
そして、相手がどんな人なのかも、一切知らなかった。
ただある情報は、インターネットで知り合った彼と結婚したということだけ。
あそこまで引き篭っていた彼女は、どれほどの勇気を振り絞って、彼女は家をでたのだろうか。
彼女を部屋から出した彼は、どんな人間なんだろうか。
気になって仕方がなかった。
そんなある日、法要で叔母の家を尋ねた私の母から一通のメールが送られてきた。
「これが、旦那さんです^^」
添付されていた写真を開くと、インテリ系メガネの青年が一人。なるほど、いかにも理系という顔立ちをしている、頭のよさそうな真面目そうな青年だ。
え、普通に超好青年だけど?
マジ?
「旦那さん25歳だって(^o^)」
え!?マジ!?
わかっ!!
「あと妊娠したらしいよ!来年には赤ちゃんが生まれます」
ええ!!マジで!?
そこには旦那の隣で、精一杯お化粧をした彼女が、どこか自信なさげに、でも昔では絶対出来なかったような、かすかな微笑をたたえて、写っていた。
引きこもりのいとこである。
35歳の彼女は、中学生のころイジメが原因で登校拒否を起こして、およそ20年間部屋から出て来ない。
年に5回ほど親戚の家を訪れる私も、もう随分と見かけた事がなかった。
彼女の部屋は家の一番奥の林に面したところにある。
常に湿気に悩まされており、部屋中もう、カビだらけだと言う。
親も立ち入れないため、部屋は荒れ放題で、入り口には使わなくなったスチール製のベッドが、バリケードのように立ちふさがる。
そんなところで、彼女は一日中電気もつけず、長い間暮らし続けた。
そんな彼女の時が止まってからおよそ20年目の事である。
私はとある噂を叔母から耳にした。
「あの子に彼氏が出来た」
私は耳を疑った。一体どうやって彼氏を作ったのか、一体どうやって付き合っているのか。
「インターネットで知り合ったらしい」
なるほど、それは分かった。
さすがにそれ以外の道がない事は薄々感づいていた。
しかしどうやって付き合っているのか。まさかネット上だけでの付き合いじゃないだろう。
それでは親に報告できるほどの付き合いとは言えないだろう。
「彼氏が時々家に遊びに来るよ」
なるほど、彼は大阪から静岡の山奥まで電車に乗ってやってきて、そして駅からタクシーにのって彼女の家まで遊びにきて、家のチャイムをピンポーンと鳴らし、両親に「おじゃまします」と挨拶をして、そして廊下を歩いて彼女の部屋の前まで来て、ノックしてから入室しているという事なのだ。
マジで。そんなバカな!
しかし彼らはその後もそのような形態の交際を続け、すくすくと二人の愛を育て続けた。
そして先日、彼女は大阪の彼の実家に嫁に行ってしまった。交際二年目の事である。
大丈夫なのか。
生活能力というもの以前に、人と接した事がここ数年なかった彼女に、彼の両親と同居する事は可能なのか。
一体彼女がどんな生活を送っているのか、全く検討が付かなかった。
そして、相手がどんな人なのかも、一切知らなかった。
ただある情報は、インターネットで知り合った彼と結婚したということだけ。
あそこまで引き篭っていた彼女は、どれほどの勇気を振り絞って、彼女は家をでたのだろうか。
彼女を部屋から出した彼は、どんな人間なんだろうか。
気になって仕方がなかった。
そんなある日、法要で叔母の家を尋ねた私の母から一通のメールが送られてきた。
「これが、旦那さんです^^」
添付されていた写真を開くと、インテリ系メガネの青年が一人。なるほど、いかにも理系という顔立ちをしている、頭のよさそうな真面目そうな青年だ。
え、普通に超好青年だけど?
マジ?
「旦那さん25歳だって(^o^)」
え!?マジ!?
わかっ!!
「あと妊娠したらしいよ!来年には赤ちゃんが生まれます」
ええ!!マジで!?
そこには旦那の隣で、精一杯お化粧をした彼女が、どこか自信なさげに、でも昔では絶対出来なかったような、かすかな微笑をたたえて、写っていた。
コメント一覧
バカにして見下しているように
見えて不愉快
でも引きこもりって親からしたら迷惑じゃん
そんなこと 聞いちゃうの!?
わかってんだろ
人生に絶望した彼女を見て「俺が幸せにしなきゃ」ってなったんじゃないか
待ってるだけじゃ幸せはこない、小さな一歩でも踏み出す勇気が必要ということを…
ふぅ…
女が男にできる究極のプレゼントは赤ちゃんだからね
それができればあとは誠実に生きれば大丈夫
あんなに楽しい喪女のあねさん方は、なぜ結婚できないんだ
引きこもりに対してバカにする感情を持つだけでも人に優しく立派だと思う。おれなら死ねとしか思えない。
インテリメガネと従姉妹の共通点がわからん
そう?俺は文章の所々から、いとこに対する優しさというか、愛情というか、思いやりというか、そういうものを感じたけどな。
簡単にいうと、
外(林)外(林)外(林)外(林)
┌─────────┐外
│家(いとこの部屋) │外
│─────────│外
│家(全体) │外
│ │外
└─────────┘外
外外外外外外外外外外外
って事じゃない?
簡単にとかいいながら分かりにくくてスマソ