290 :名無し@話し合い中:2006/09/16(土) 11:11:01
俺は20歳から25歳まで付き合った彼女がど真ん中だった。「そろそろ結婚するか?」そんな話になり
具体的な両家への挨拶の日取りとかも決めていた。
が、彼女は突然居なくなった。
彼女の両親は、俺の名前を知っており、線香をあげる事を喜んでくれた。
そして、3年目の花を手向けていた時に
彼女の母に
「あなたも若いのだから何時までも縛られては駄目、
あなたは幸せになりなさい。それがあの子の望みでもある筈」
彼女の父に
「もう此処には来なくても良い。忘れないで居てくれれば」
「正直、君が来る事で我々家族も苦しい」
それ以降、彼女の家には行けなくなった。
ただ、寺には行っていた。
その後、事情を知る会社の後輩の女の子が
292 :290:2006/09/16(土) 13:36:10
「あなたの中に今でも彼女が生きている事はわかってる。それでも良いから私と付き合って下さい」
可哀想な自分に酔ってる俺に対する同情か何かわからないが、
その言葉に後輩を試したくなり、付き合うことになった。
が、後輩を抱いていても話してても彼女の影は消える事が無かった。
墓参りもそのまま続けた。
そして、その2年後にその後輩と結婚する事になった。
その事を彼女の両親に電話で伝えるとかなり喜んでくれた。
彼女の墓に参ると言うと、後輩も一緒に行くと言う事で、二人で報告に行った。
そして、結婚しても妻は、変わる事無く、一緒に墓参してくれた。
その1年後に妻が懐妊し、女の子が生まれた。
嫁は、娘に彼女の名前を付けるよう勧めてくれたが、
「早死にすると嫌だから」と断り、嫁から一字貰って名前を付けた。
彼女の事は、俺の中で徐々に薄れていって、家族が中心になってきた。
しかし、幸せは長く続かなかった。
295 :290:2006/09/16(土) 14:39:15
病院で、医者の話を聞いた時は信じれなかった。「若いから転移が早くて、治療が難しい」
「最善を尽くしますが、覚悟はお願いします」
コノ人ハ俺ノ理解出来ナイ事ヲ言ッテイル
呆然とする俺に
「気持ちはわかりますが、しっかりして下さい」
医者はそう言った後、
「奥様に告知なさいますか?」と尋ねた。
考えたかった、色々と。
が、咽喉から出た言葉は、「いいえ」だった。
306 :290:2006/09/16(土) 16:21:05
1歳半の娘を俺両親と嫁両親との交代で面倒を見て貰い、俺は嫁の病院と会社を往復する生活をした。
嫁は、俺に「ごめんね」と娘の世話を出来ない事を嘆いた。
その度に俺は、「すぐ治るさ」「早く帰って遊んでやろう」と励ました。
2度目の手術のあと、衰弱しきった体で嫁は尋ねた。
「私、あの人の代わり上手く出来てた?」
一瞬、意味がわからなかったが、嫁が彼女の事を言ってるのがわかった。
「代わりなんて…。それにまだまだ一緒に生きて行こうよ」
「ありがとう。嬉しい」
「お前にそんなに気を使わせててごめんな。
でも、今なら俺はお前が大事だと心から言える。
それに○○(娘)だって、まだまだ手が掛かるんだよ。
だから頑張れ」
307 :290:2006/09/16(土) 16:39:01
病院を出て娘の居る実家へ向う途中、車を公園に停めて泣いた。今まで嫁に充分な愛情を注げなかった事を
それなのに愛してくれる嫁を
本来なら可哀想な娘の事を
如何しようも無い憤りとやり切れなさと自戒と
そして、俺は実家に向わず寺に向った。
何度となく通った彼女の墓石。
泣きながら彼女に頼んだ。
「あいつを何とかしてやってくれ。
無念さを知ってるお前ならわかるだろ」
そして、彼女との思い出を墓石にむかって話し始め、
やがて嫁のこと、娘の事と話していると、東の空が白み始めた。
318 :290:2006/09/18(月) 10:04:38
やはり奇跡は起きなかった。2度目の手術の後も新たな箇所に病巣が発見されたが、
それを取り除く為の手術に最早耐えられるだけの体力は無かった。
嫁もそう言う状態に気付いていた。
そして、最後の時は来た。
面会を禁じられていた娘と対面し、「ごめんね」を繰り返した。
俺は、何も言えなかった。
ただ二人を見つめるだけだった。
その後、意識低下となり、静かに…
葬式、初七日、四十九日、ほとんど無意識に時は過ぎた。
2歳だった娘も小学校に通ってる。
今は、昔の彼女は、ド真ん中には居ない
元嫁が、心のド真ん中に居る
322 :名無し@話し合い中:2006/09/18(月) 15:12:26
>>318こう言っちゃなんだが、
お前すげぇサゲ珍だな
324 :290:2006/09/18(月) 16:31:55
>>322お前の言う通りだと思う。
でも、まだ俺には娘が居るから生きていける。
コメント一覧
みんなオラに力を分けてくれ!!
しかし不幸に酔ってるってのはそうだろうね、「コノ人ハ俺ノ理解出来ナイ~」って分をわざわざ打つあたり
悲しい話のはずなのに何故か感情移入出来ない。
断る。
いや、なんとなく。
わたしはしんだ。みたいな。
こんなに悲しい出来事に耐える為には
酔うのも吐き出すのも仕方無いと思う
そんな事したって耐えれるか判らない
少なくとも自分には想像つかない
月の中市やあってます♪
よかったよかった…
自分が死ねばよかったのに。
ここで無理