1: 風吹けば名無し 2019/02/11(月) 04:35:59.14 ID:d7aPmqSga
友人から聞いた話。サークル仲間に無理やり参加させられた合コンは、予想通り人数合わせの様で、
仲間の二人は、合コンというより初めからカップルで参加していて、
相手の男が連れて来たのも、さえない人数合わせの様で、
全くK子さんの趣味に合わなかった。
「カラオケでも行こう」という二人の誘いを断ったK子さんは、居酒屋を出て駅へ向かおうとしていると、
「二次会は行かないの?」と声を掛けられた。
同席していたSだった。
同じ大学の先輩だと名乗ったSは、かなりの美人で、男たちの注目を集めていたのを思い出した。
Sの誘いでもう少し飲んでいこうという事になり、駅前の居酒屋に入った。
「K子さん、T県出身なんだって?」
合コンの失敗をネタに盛り上がっているとSが言った。
「さっき自己紹介で言ってたでしょ。夏休みはT県に帰るの?」
二日後からは夏休みだった。
「どうしようか未だ決めていない。旅費が結構掛かるから」とK子さんが答えると、
Sは、「T県のハイキングコースのゴミ拾いのボランティアが有るので、参加しないか?」と言った。
2: 風吹けば名無し 2019/02/11(月) 04:36:47.07 ID:d7aPmqSga
Sが所属しているアウトドア愛好会グループは、バーベキューキャンプを予定しており、T県のそのハイキングコースにあるキャンプ場のオーナーと契約して、
ハイキングコースのゴミ拾いのボランティアを行う代わりに、キャンプ場を無料で使用させて貰える。
しかも、バーベキューの食材も提供してもらえるとの事だった。
「どう?ボランティアだからバイト代は出ないけど、行きは私の車で一緒に行けば旅費も掛からないしね。
ただ、私達はその後の予定があるから、帰りはK子さん、自分で何とかしてもらわなければならないけど」
実家には2年くらい戻っていない。かなり旅費が掛かるので、今年も行かない予定だった。
確かに片道分の旅費で済むし、野外でバーべキューというのも楽しそうだ。
「じゃあ、行こうかな」
K子さんが答えると、Sは言った。
「そう。じゃ、明後日の朝7時に学校の前で待ち合せしましょう」
K子さんは携帯番号を教えてもらい、Sと別れた。
3: 風吹けば名無し 2019/02/11(月) 04:37:05.58 ID:d7aPmqSga
翌日。部屋の掃除と洗濯を済ませて、明日の準備をしていると、携帯に電話が掛かって来た。実家からだった。久しぶりの帰省に喜ぶ母親に、明日は近くのキャンプ場で友達と泊まってから、翌日に家に向かう事を告げると、
『キャンプ場なんて有ったかしら?』と言う。
ハイキングコースのゴミ拾いのボランティアの事を説明して、その近くだと言うと、
『ハイキングコースなんて無いだろう』と言う。
『お前、忘れたの?あそこはセメント工場のハゲ山だったでしょう』
そう言われたK子さんは、子供の頃に電車から見えた、
木のない削り取られた灰色の山々をハッキリと思いだした。
5: 風吹けば名無し 2019/02/11(月) 04:37:27.38 ID:d7aPmqSga
Sに電話して問い合わせるのもためらわれたK子さんは、サークル仲間に電話してSの事を聞いてみた。『ああ、あの合コンのきれいなお姉さん?』
サークル仲間によると、みんなSとはあの時が初対面で、
幹事役が聞いたところだと、都合が悪くなった女の子の代理で来たと言っていたという。
じゃ、その都合が悪くなった女の子は?と聞くと、
友達の友達とかいう人で良くは知らないし、携帯とかの番号も聞いていない。
翌日の待ち合せには、K子さんは行かなかった。
Sから電話が有ったらどうしようか?と怖かったが、電話は掛かって来なかった。
友達と一緒にSの携帯に電話してみると、何度掛けても呼び出し音が鳴り続けるだけで、
二日後には通話不能となった。
調べてみると、Sの言っていたハイキングコースなど無く、キャンプ場も存在していない事がわかった。
学校に問い合わせると、Sという生徒は在籍していなかった。
都合が悪くなったという女の子も、未だに見つかっていない。
コメント一覧
突然出て来たK子さん
聞き覚えのある声が響いた。寺生まれで霊感の強いT県だ
「破ぁ!!」
と叫ぶと同時に、5色の光が空を染めた
「シロエビの白!ホタルイカの青!埋没林の緑!チューリップの赤!ます寿司のピンク!」
光とともに次々と名物のビジョンが浮かんでは消える…
「ブラックラーメンと蜃気楼も忘れないでくれよな!」
と言い放ったかと思うと、いずこかに走り去って行った
T県…富山県か…