136 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2009/06/17(水) 18:45:59 ID:ZCj3nYDL0
知り合いの話。山奥で測量をしていると、大きな屋敷に出くわした。
何でこんな場所にこんな建物があるんだ?
不思議に思って見ている内に、何故か無性に中に入りたくなった。
「御免下さい」と声を掛けたが、誰も居る気配は感じられない。
よく見ると其処彼処が少し傷んでいるようだ。廃屋なのかな?
土足も躊躇われたので、靴を脱いで揃えると、家の中を歩き始めた。
手近な障子を開けてみる。
大きな和室だ。二十畳近くもあるだろうか。
部屋の中央には黒い長机が置かれていて、上には膳の用意がしてあった。
十人分に近い数。湯気が見て取れる。
慌てて玄関に駆け戻ると「失礼しました!」と中に叫んでから飛び出した。
事務所に帰って落ち着いて考えてみると、どうにも腑に落ちない。
あんな獣道もないような山奥に人が住んでいるなんて、聞いたことがない。
屋敷内も汚れてこそないが少し荒れていて、人の住んでいる感じもしなかった。
でも、食事は暖かかったんだよなぁ。
137 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2009/06/17(水) 18:46:55 ID:ZCj3nYDL0
同僚にこの話をしていたところ、一番古参の者が驚いた顔をした。「お前“御屋敷”を見つけたのか?
食事が用意されていたんだな? 手付かずで?
・・・良かったなぁ。
タイミングがずれてたら、膳の上に並べられていたのはお前だったぞ」
詳しく聞いてみると、こんなことを教えてくれた。
「あの山奥に住んでる主一族の家らしくてな。
ただ単に“御屋敷”とだけ呼ばれてるよ。
皿の上に料理があれば無事に出られるが、何もなかったら大事だ。
一旦は無事に帰れるそうだが、その夜のうちに消えて居なくなるんだと。
主にさらわれて料理されてしまうって話だ」
「まぁ、俺も爺さんに聞かされた話しだし、爺さんもそのまた爺さんに聞かされたって言ってたからな。
この辺りに伝わる昔話みたいなもんだと思ってた。
・・・本当に出くわす奴がいるとはなぁ・・・」
後日、別の同僚がそこの現場に行ってみた。
知り合いが見つけた屋敷など、どこにも見つからなかったという。
コメント一覧
オカルト好き投稿者がいるのか?
けど、「胸糞」と書くことを禁じられたぼくに、どんなコメントができるだろう。
2度目に元の場所に行けなかっただけじゃないかと思う
ちゃんと行けるように測量のプロを連れて行けばよかったのに
無駄に雰囲気を盛ることもなく、かといって変に淡泊なこともない、絶妙というには少し物足りないくらいの怖さ加減というか、そういうのがいい
別の同僚「はかりやがったな〜!」
って話だろ?