392: 本当にあった怖い名無し@\(^o^)/ 2015/10/19(月) 18:02:45.76 ID:ZR1pPntG0.net
知り合いに中途半端な歳で上京してきたフリーターのMがいるんだが、
数人で家飲みしていた時に上京の理由をMに結構しつこく訊いた奴がいた。
Mは最初嫌がっていたが、酔っていたからか「絶対引くなよ」と前置きして話し出した。
Mは普通に地元の大学を出て、地元の企業に就職した。ずっと実家暮らしだったそうだ。
ある夕方、たまたま早上がりをしたMが家路を歩いていたら、
向かいからやってくる人影が突然Mに駆け寄ってきた。
人影―――女は「Mさん、久しぶり!元気だった?」とさも親しげに言うが、
Mにはその女に憶えがない。
だからといって「あんた誰?」と訊く訳にもいかず、
「あ、久しぶりー、元気だったよ、そっちは?」と無難な答えを返した。
すると女はニコニコしながら鞄から紺色の小さな手帳を取り出して、表紙をMに見せつけた。
金文字で書いてあったのは『障害者手帳』の5文字。だが、女に何か障害があるようには見えない。
Mが「え、どうしたのそれ…」と言い終わると同時に、女はその手帳を開いて見せた。
そこにあったのは女の顔写真、障害等級2級の記載、そして女の名前と“精神障害者”の文字。
その名前を見てMはようやく気づいた。女はMが中学の3年間、いじめ続けた同級生のAだった。
絶句したMと向かい合ったAは、ニコニコしながら
「Mさん、私の事覚えてなかったでしょう。
寂しいなぁ、私はこの10年、1日だってMさんのこと忘れたことなかったのに…」
と言った。
そして、
「でも、良いでしょう。今はこの手帳が私を守ってくれる。
人一人殺したとしても、手帳持ちだって判ったらきっと報道規制がかかると思うの。
事情が分かれば情状酌量の余地もあるだろうし…でも、今日は無理ね。
刃物も紐も持ち合わせがないの。Mさん、私よりずっと大きいから、
素手じゃ返り討ちにされて保護室行きに決まっているわ。またの機会にね」
と言って、Aは手をひらひら振りながら去って行った。