494 名前:おさかなくわえた名無しさん[sage] 投稿日:03/06/24(火) 15:46 ID:h+q2mUb1
一人っ子の俺に待望の女の子が出来たのは結婚6年目のことだった。
両親にとっても、待ち望んでいた初孫だった。
俺たち夫婦は共働きのため、娘がモノ心つく前から、
おじいちゃん子、おばあちゃん子だった。
今、思えば孫の成長だけが楽しみだったと思う両親も、
娘が小3の時に母、その翌年に父、と、他界した。
しかし、ウチの一人娘、実の親が言うのもナンだが、しっかりしている分、
大変ドライで、・・・双方の葬儀の際にも、涙ひとつ見せず、淡々としていた。
俺たち父母より沢山の思い出が詰まっているはずのおじいちゃん、おばちゃんのはずなのに、
しかし・・・・
たしか、父が死んで10日ほどたった頃だと思うが、
夜中にふと目を覚ますと、隣にいるはずの娘がいない。
(我々家族は2階の同じ部屋で寝ているのだが・・・)
最初はトイレだろうと考えたが、しばらくたっても来ないので、
そっと階段を下りて、居間を覗き込んだ。
すると居間の両親の仏壇と写真に向かって座っている娘がいた。
「何やってるんだろう」と様子を窺っていると、
娘は2階の俺たちに聞かれないよう、声を必死に押し殺しながら、泣いていた。
「おじい・・・・チャン・・・・・おばあ・・・ち・・」
声にならないこえで仏壇に話しかけながら、泣き続ける娘。
俺は見てはいけないものを見たような気がして、そっと2階へ戻った。
翌朝、多少顔が腫れてはいるが、相変わらずドライな娘はいつものように
ぶすっとした態度で登校していった。その後姿を見ていると走って追いかけて
ぎゅっと抱きしめてやりたい気分だった。