64:メンヘラ(アラバマ州):2010/07/23(金) 01:36:50.70 ID:NCrqSpC6
貧乏な家に生まれ育って、家にエアコンがある生活なんて想像すらできなかった。 母親は俺が小2の時、妹の出産に失敗して、死んだ。
兄貴とオヤジのストレスのはけ口になりながら育ったので、ウンザリしてさっさと
独立して、一人暮らしをするようなった。
30歳になるまで、エアコンを家に導入するという概念すら構築できなかった。
毎年夏になるとPCが熱暴走してダウンした。
暑いので、窓を全開にして、網戸も付けずに、蚊取り線香を炊いて夏を乗り切った。
そんなある年の夏。夜中に、セミが部屋の中に特攻してきた。
もう大人なので虫は気持ち悪くてさわれない。俺はバスタオルを振り回した。
蛍光灯にバスタオルが直撃し、割れた。
泣きながら掃除機を掛けてたら、掃除機がハンカチを吸い込んでホースの所
で詰まった。熱中夜の中、掃除機の修理が始まった。
セミは俺の部屋の中で元気に鳴き、1週間後に死体で発見された。
泣きながら、掃除機を修理しているとき、ある事に気がついた。
「俺。エアコンもう買えるんじゃね?」
次の休日にエアコンを買いに錦糸町のヨドバシに行って、2日後に取り付け工事完了。
世界が変わった。そして苦しい人生の中こんなに嬉しいことがあるなんてと、自分の
自立を確信して泣いた。
記念に宅配ピザを頼んだ。届けに来たのは、中学時代とっぽく決めて、いろんな奴を
殴ってた元ヤンキーの同級生だった。お互い気づいたが、気つかないフリをした。
猛暑の中、ピザの配達のバイトに励むそいつを他所に、俺はエアコンのきいた部屋で
ビールを飲んでピザをつまみながら、契約したスカパーで、ガンダム全話一気に放送を
楽しんでいた。
これが人生か。と、思った瞬間だった。
そしてまた泣いた。
エアコンよありがとう。子供の頃からエアコンがある部屋で育った人間にこの気持ちはわかるまい。