440 名前:名無し三等兵[sage]投稿日:2005/11/16(水) 14:29:34 ID:???
私の祖父は戦争の話が嫌いでした。 私がほたるの墓や、ビルマの竪琴を読んでいるのを見つけると、悲しそうな顔で私に、
「知らない事が幸せなのに」
と呟いていました。
去年の今ごろに祖父は亡くなったのですが、その一ヶ月ほど前に、
一度だけ戦争の話をしてくれました。
祖父は、終戦の日まで、国に何も恩を返すことができなかったこと。
特攻隊として志願したが、上官に泣きながら殴られたこと。
戦争が終わったと知ったその日、戦友に切腹の介錯を頼んだが、当日その戦友が拳銃で自殺したこと。
血に染まった壁に、
「○○(祖父の名前)、お前が来たら追い返せるよう、先にゆく」
と書いてあったこと。
めったに泣かない祖父が、チョコを食べながら聞いていた私を見て、ぽろぽろ泣いて、
「そいつを少しでもあいつらにわけられたらなぁ、上官に差し上げることができたらなぁ」
と、蚊の鳴くような声で、何度も何度も繰り返していました。
祖父は優しい軍人さんだったのでしょうか。
今は上官に、戦友さんに、お菓子を振舞っているのでしょうか。
だったらいいなぁ、と思います。