免許を取って始めての夏休み、おいらは父親方の田舎へと一人で
ドライブということで車を走らせた。高速道路は料金が…と思い峠道を選んだ。
のどが渇いたので自動販売機を探したけど峠道にはない。
峠の入り口付近にある茶屋があった。古く今にも壊れそうな茶屋に寄ると、
おばあちゃんが一人ポツンと座っていた。
うどんを注文した。なんか美味しかった、不味いはずなのに、ニコニコ笑う
おばあちゃんを見てると美味しく感じた。
いろいろ話をした。息子の事、嫁の事畑の事、そしてこの茶屋の事。
高速道路が出来て車が通らなくなると茶屋は衰退し息子夫婦は出て行き
自分が一人守ってる事。
うんうんとうなずくおいらにおばあちゃんは久しぶりに話しできる相手
を見つけて喜んでいた。話が弾んで裏の畑見るかい?と言われ畑へ行った。
おばあちゃん自慢の畑だった。果物と野菜を生でガリガリ食べた、
こんなに美味しい物を食べたのは今まで経験無かった。
日が暮れて、おばあちゃんは「泊まってくかい?」とうれしそうに言う。
しかし、お いらは恥ずかしくて「いいよ」と言い店を出た。
翌年、同じ月同じ場所においらは訪れた。そしておばあちゃんは居た。
おばあちゃんは家族のように迎えてくれた。まぁまぁ話して行きなさいと言い、
おいらの顔も忘れずにうどんを出してくれた。
また畑を見に行き野菜をもらいおいらは家路に着く。
そんな事を2年間繰り返した。3年目の季節、再び向かうとおばあちゃんは居た。
ちょっと年とったけど元気だった。またうどんを食べて話をした。
最近息子が全然顔を見せないのだと言う。悲しそうに笑った。
そしていつもの「泊まっていくかい?」と言われ今回は「うん」と答えた。
ふもとの町で酒を買ってちょっと贅沢な魚を買って、贅沢なケーキを買って
おばあちゃんと暖炉を囲んでご飯を食べた。
片付けをするとおばあちゃんは
わるいねぇわるいねぇと言いながらお茶をすすると
うれしそうな目でおいらを眺めていた。
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